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ランパル外伝 〜 ロチェック先生

ロチェック先生のレッスン通訳初日が終了しました。はじめてお目にかかる先生は、とても穏やかな、暖かみたっぷりのすてきな方です。

事前にプロフィールを拝見したら、十代ですでにウィーンフィルで活躍してらしたんですね! そして過去の共演者の中には、ランパルの名前がありました。日本では一部に「乱春(らんぱる)」というあだ名もありましたが、いやいや、ニコレ、ベーカーと並んで「フルートの三大巨匠」と呼ばれていた、かの偉大なるランパルです。へぇ!と気になっていたんですよね。

レッスンの後、雑談する時間があったので、ランパルとの演奏会についてお訊ねしてみました。すると、あぁ!という表情で、「うん、あれはリハーサルなし本番だったよ」とのこと。以下、拙訳で恐縮ですが、教授のお話です。

音楽祭だったよ。ランパルとはモーツァルトの四重奏曲ニ長調をすることになっていた。屋外の演奏会でね、何百人もお客さんが来るんだ。初顔合わせだったが、ランパルが開演1時間前に来て、リハーサルする予定だった。もちろんぼくたちは2時間前には行っていた。

ところが1時間前になってもランパルが来ない。30分前になっても来ない。10分前になっても現れず、とうとう演奏会がはじまってしまった。フルート四重奏曲は2番目に演奏する予定だったが、ランパルがいないからしようがない、プログラムを変更して、後半にする予定だった曲を繰り上げた。

そしたらいきなりランパルが現れたんだ。さあどうする? リハーサルもしていない。するとランパルがこう言うんだ。「僕はこの曲をよく知っている。君たちもこの曲をよく知っている。テンポはこのくらいね(テンポを手で打って軽く歌う)。じゃあ行こう!」

というわけで、もうステージに出ていたんだよ(smile!)。

1970年代のできごとだそうです。1947年生まれのロチェック先生はまだ20代か30代はじめ、ランパル御大は1922年生まれだから、50代でしょうか。すでに大活躍中とは言え、まだ若いロチェック先生と、大御所のランパル氏。何となく情景を想像してしまいました♪

ひとしきり盛り上がった後で、「どうしてそんなによく覚えておられるのか、とてもよく理解できます」と申し上げると、ロチェック先生、「音楽家ってこんなんだよ」なんちゃって、懐かしそうな苦笑いを浮かべておられました。(^O^)/

by akirako-hime | 2012-05-15 10:23 | 笛吹きっぽいひとりごと