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部分練習 その1

もう一つ、繰り返しエミリーが言ったのが、「Practice in small chunks. (小さなかたまりで練習して)」でした。少しずつの部分に分けて練習する、いわゆる「部分練習」です。そう、これも、いろんな先生がおっしゃることですから、「やってる!」という方は多いでしょう。では、どこまで小さく分けて練習しているでしょうか。意外に小さくはなかったりして。
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この譜面は、ケーラーの教則本の中の一つ(Op.33, 1-2)出だしの部分です。ちょっぴり練習方法を検討してみます。

まず1小節目、日頃アルペジオの練習が足りていれば、苦労しないかもしれません。でも念のため、ゆっくり「ソシレソシ~、シソレシソ~」を吹いてみます。
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ゆっくり吹くと余裕ができて、自分の音を聴きやすくなりますから、音が均一かどうか、レガートかなど、チェックしやすくなります。シとレのレガートがアヤシいですか? では、シとレだけをゆっくりやってみます。
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大事なのは、音が移る瞬間に、動くべき指が「どれだけきれいに揃って同時に」動くか、そしてどれだけ自分で雑音に気づくことができるかですから、その瞬間によくよく耳を集中させます。そのためには、テンポはくれぐれもゆっくり、たとえばメトロノーム60とかがお勧めです。

2小節目は、アクセントのついている低音がメロディーラインです。間のシの音は和音の構成音に過ぎず、かつ裏拍ですから、メロディー音を浮き立たせるために、ずいぶん軽くしてやる必要がありそうです。まずメロディーを吹いてみてもいいですね。私が最初の4小節のメロディーラインと捉えたのは、こちらです。
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次に、間のシの音も入れて行きますが、「メロディー音をたっぷり、レガートに気をつけて、シを軽く」を大げさなくらいに心がけます。

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フォルテで「energico(情熱的に)」ですが、メロディーが埋没したデカいだけのフォルテは、うるさいだけです。やっぱり、メロディーラインがきれいに出てくれなければ……。メロディーの音に軽くビブラートを入れてもいいくらいかも知れません。

最後のレは、軽めに1票! 低音レを太いフォルテで出すのは技術的に難しく、バシッと吹くとフルート的にはインパクトがありますから、しっかり吹きたい欲求に駆られるかもしれません。でもフレージング的には、ここは2拍目の裏、かつ特に和声が変化している訳でもなく、アクセントもついていません。

と、延々と書くと、どれだけ時間がかかるんだろう、と思う向きもあるかもしれません。いえいえ、よほど丁寧に練習しても、これでせいぜい5分くらい。それでキッチリした応用の利く演奏技術を積み重ねて行けるなら、むしろ時間の節約です。


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by akirako-hime | 2013-08-16 11:55 | 練習のヒントになるかな〜

ゆっくり!

霧島国際音楽祭も終了。思いのほかバタバタとして、アッという間でした。私は霧島だけで業務終了でしたが、今年はキリシマ祝祭管弦楽団の東京公演があったので、オケのメンバーと東京在住の通訳さんたちは、昨夜の東京公演までがお仕事でした。今年のフルート科教授、コンセルトヘボウ管弦楽団首席奏者のエミリー・バイノンも、昨夜の公演まで参加して、今ごろはもう帰国の飛行機に乗っていることでしょう。

さて、霧島における私のお仕事は、まず第一にレッスン通訳です。今年は受講生が多かったため、レッスン数も多く、私も大活躍?でしたが、何日目だったかな、ふと、レッスン中に一番よく出て来る言葉って何だろう?と考えてみました。いくつかありますが、一つは「ゆっくり」かな。もっともこれは私が訳すことは少ないんですけどね。「Slowly!」とか「In slower tempo!」とだけ言われたら「ゆっくり」と訳しますが、エミリーは自分で「Yukkuri kudasai!」と言えるので(笑)。

おもしろいのは、「ゆっくり」と言われて、本当にゆっくりのテンポで吹く人が少ないこと。「無理なく吹けるくらいにゆっくり」という意味なのですが、たいていの人は、それまで吹いていたより「やや遅」にする程度です。これは今回に限らず、レッスン通訳をしていてよく感じることですし、うちの生徒さんがたのレッスンでも、「もっと本当にゆっくりにしてください」と再度お願いすることは多いのです。

ゆっくりと言われたら、「とってもゆっくり」で大丈夫。と言うより、本当にゆっくりにしましょうよ。要するに、譜面上の情報を正確に読み取り、かつ、その情報を正確に演奏に反映できるテンポ、ということなので、倍どころか、曲によっては3〜4倍ほどにゆっくりしてもいいのです。

肝腎なのは、指や舌をはじめとする身体の各所に「正しい動き」を覚えさせることです。「ゆっくり正確な練習」は、身体が「正確な動き」に慣れるにつれ、正確さを保ちながらテンポを上げていくことができますから、「速くて正確な演奏」につながります。でも、「速くて不正確な練習」では身体が「不正確な動き」を覚えてしまうので、何度繰り返しても正確になることはありません。そしてどんなに速く吹けても、正確でなければ、きれいに仕上がるはずもありません。

エミリーいわく、「とても情報を読み取れないようなテンポで吹いて、パニクって、何度も間違ったあげくに、何かの拍子に偶然うまく行ったら、それでできた気になって、すぐ次に行く」というのは、けっこう皆さん、当てはまるのでは???

次回は、少し具体的な練習方法を提示してみようと思います。
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by akirako-hime | 2013-08-07 15:21 | 練習のヒントになるかな〜