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斜に構えたランパル 〜 ちょっぴりアンブシュア考察

昨日の記事でご紹介したボランの組曲の動画では、あちこちでランパルがアップになります。たとえば Fugace の最初の部分など、かなり真正面からランパルのアンブシュア(楽器を吹くときの唇や口の状態)が観察できます。

はじめてのフルートのレッスンで、頭部管は唇に平行(まっすぐ)に当てる‥的に言われた人は多いのではないでしょうか? 私もまずはそう指導します。でもランパルは半端ではなく斜めに構えていて、その説に合わないように見えますよね。でも‥すごくいい音! 実はそもそもランパルは、アンブシュア・ホールの位置自体も、ずいぶん唇の真ん中から左側にずれています。

アンブシュア・ホールが真ん中にならない人はちょくちょくいますが、問題かと問われると、私は「いいえ〜!」と断言しちゃいます。アラン・マリオンもかなり左寄りだったように思いますが、とてもきれいないい音でした。もちろんホールがきれいに唇の真ん中に来ていて、音色もきれいな例はさらに多いですから、位置は問題ではなさそうです。

アンブシュア・ホールの形って、横長ですよね。真ん丸ではありません。「隙間」と表現してもいいくらいに、横に細長い穴です。この穴の方向と楽器とが平行であること、それが大事なのだと思います。そして、アンブシュア・ホールの中心と楽器の歌口の中心が合っていることと、息が歌口の反対側(外側)のエッジの中心に当たる角度になっていること。すると、アンブシュア・ホールが顔に対して斜めに開く人は、当然、フルートの構え方も斜めになります。

はじめてフルートを吹くときには、まず唇に平行になるように楽器を当ててみて、その後、アンブシュア・ホールがどのあたりに、どういう形で落ち着くか、気をつけて見ていてください。もう音が出るようになっている方も、アンブシュア・ホールは一回定まったら永久的というわけではありませんから、ときどき鏡でツラツラと自分のアンブシュアを眺めてみるのはお勧めです。アンブシュア・ホールが唇の横手あたりにあっても、真ん中にあっても、それで自然な感じならOK! そのホールに対して楽器がいいポジション、いい角度で構えられていればいいのです。

何よりとても大事なのは、自分の音をよく聞いて、「一番自分がいいと感じる音色」にしようとしながら、あれこれ試してみること。「これだ!」と思った音色が出たら、そのときのアンブシュア、それ!それですよ! \(^O^)/ そのアンブシュアが正解なのです。ハイ。

ときどき、好きなフルーティストのアンブシュアや姿勢を一所懸命見て真似ようとする人がいますが、唇や口内の形など、身体の作りが人によって違いますから、見かけだけ真似ても意味はありません。それよりひたすら「いい音だな〜」と思う音色を耳と感覚に染み込ませて、自分の「理想の音」のイメージを作る方が有意義そうです♪

余談:その昔、超ランパル・ファンの先輩(男性)が、「子どもができたらランパルと名付ける」と宣言していました。「乱春」と書くのだそうな。実行したという話は伝わっていません ‥笑!

by akirako-hime | 2011-02-08 09:40 | 練習のヒントになるかな〜