フラッター・タンギング その1

出張レッスン先の学校の高校生バンドのクラスで、なんと、フラッター・タンギングのある曲が出てきました。このクラスには私の生徒も何人かいるので、さっそくレッスンに「これなんですか〜?」と楽譜を持ってきました。やってみせると、あぁ聞いたことあるなぁという反応の生徒もいますが、「何それ〜っ???」的な反応もあり‥(苦笑)。

フラッター・タンギングとは、舌か口蓋垂(俗に言うノドチンコ)を震わせながら音を出す特殊奏法で、「trrrrrrrrrr〜」という響きになります。近代以降に発明?され、クラシックに限らずジャズやポップの曲でも出て来ます。私が本気で練習したのは、イベールの協奏曲の第3楽章をやったとき。コンクールや試験によく出て来るし、プロを目指すフルート専攻生なら避けて通れない曲ですから、この曲でフラッターに取り組んだ人は多いのではないでしょうか。
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 記号はこんなの。音符の軸に斜線が並んで入っています。
 あるいは「flutter」「Flatterzunge」と書いてあったりもします。

私がフラッターを練習した頃は、舌を使う方法が主流本式で、舌がどうしても震わせられない人が喉(口蓋垂)を代用すると言われました。舌を震わせられるかどうかは遺伝で決まるという説もありますが、理由はともかく、私はできなかった人です。小学生の頃、友だちの間で巻き舌「rrrrrrrrrr〜」が流行り、やってもやってもできなかった私は、いじめられながら「人生にそんなもん関係ないわい!」と開き直っていたのですが、バリバリ関係ありました(苦笑)。

舌のフラッターがいいとされる最大の理由は、その方が明瞭に「trrrr〜」音になるからでしょう。しかし、喉のフラッターも鍛えれば十分明瞭になります。私は密かに、舌を震わせるためには一定以上の息の量が必要で、低音や弱音のときにはやりづらいし、音の出だしのタンギングからすぐにフラッターに移行するのも難しそうだし、実は喉のフラッターでもいいんじゃないのかなー、などと思っていました。

去年の夏、霧島の音楽祭で、ポール・エドモンド=デイヴィスは喉でのフラッターを推奨していました。その方が安定していると考えているようでした。へえ!とうれしく通訳し、私もクラスと一緒に「trrrrrr〜」とやっては、「あなたのは鳩の声のようだ」と笑われていましたが、ポールは自分の「trrrrrr〜」音を、「吠えようか、どうしようかと迷いながら、唸っている犬のような声」と表現していました(笑)。

喉も舌も自由に使えるようにして、そのときどきで使い分けている演奏者もいるようです。要は、喉でも舌でもフラッターとして聞こえればよいのです。次回は「舌フラッター」と「喉フラッター」の練習法を簡単に紹介してみようと思います。

→ ポール・エドモンド=デイヴィス 20年以上にわたり伝統あるロンドン交響楽団の首席を務めた。現在はフリーで世界各地で演奏や指導に携わる。自身の経験からまとめた日課練習曲集「The 28 Day Daily Exercise」は、2016年春「28日間ウォームアップ〜すべてのフルーティストのために」として日本語にも翻訳され、評判を呼んでいる。


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by akirako-hime | 2011-01-13 17:40 | 練習のヒントになるかな〜